うつ病は運動療法で治る

 そんな単純な話は現実にはありえないが、運動することでうつ病を改善したり、寛解(症状が一時的に軽くなったり,消えたりした状態)までいくことも珍しくないそうだ。

 これは「日経サイエンス」に載っていた記事。父もうつ病であったし、親戚にも友人にもうつ病患者がいて、私の好きな作家、故北杜夫躁うつ病(現在では双極性障害と呼ぶのだそうだ)であったから、自分にとって関心のある話題なのである。思わず立ち読みしてしまい、内容が内容だけに後日別な書店で再び立ち読みをしてしまった(笑)。

 うつ病と運動の関係については、世界中で多くの研究がされていて、その結果については概ね一つのベクトルを向いているのだそうだ。すなわち、「運動療法は有効である」と。

 しかしだからといって単純に「うつ病患者は運動すべし」とは言えない。

 運動が体に良くて健康維持に役に立つのは誰もが認める所であろうが、40度もの熱を出しているインフル患者に「さあ、走ってこい!」と言えないのは当然である。同様にうつ病患者も重い時は布団から出られないほどで、そんな状態で運動が出来るはずも無い。従って、ある程度調子の良い時、体が動かせるほど回復した時に限られる。

 時々思うのだけど、うつ病統合失調症などを「精神病、心の病」としているのは誤解を招きやすく患者にとって不利益なんじゃないか。本来は脳神経の病気だろう。ココロという不定形なものが病にかかったのではなく、他の疾患同様に物理的なメカニズムがあり、これが原因でココロが影響を受けたのである。

 いまだに「うつ病なんて心の持ちようで何とでもなる!」と信じている人は少なからずいて、それが患者の回復を妨げている例は多い。それはうつ病が心の病だと思っているからである。

 ところで運動は、ヒトの体にどのような影響を与えるのだろうか。

少しググってみたら「うつ病運動療法の現状と展望」という文献があって、そこには『成長因子(成長ホルモン)の増加と神経細胞新生,脳血流の増加,脳内神経伝達物質の増加,セロトニン系の過活動状態の抑制・・・etc』とある。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/stresskagakukenkyu/28/0/28_20/_pdf

 成長ホルモンは、易疲労感の解消、やる気の増加、集中力の増加、骨の強化等に関わっているそうで、自分の経験でもトレーニング後2,3日は前向きな気持ちでいられたり、明るい気分でいられる。このように肉体と精神は表裏一体で、相互に影響を及ぼしあっている。

 運動にはこれといった副作用がない。そこが薬物療法にないメリットだと思う。また運動がうつ病の予防になるという研究もあるそうだ。

 もしかすると、運動でうつ病を治療するのが当たり前になる時代が来るのかもしれない。