読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

*とある建築物の終焉*

地元には西欧風の近代建築物が幾つか残されている事もあってか、知らず知らずのうちに興味と関心が育まれてきたものだった。

京都市内にある国有形文化財に登録されている近代建築書店の店舗が解体される報を知ったのだが、素人としてはどうにもならない決まり事があるようで、見す見すと古い建物が近いうちに破壊されていくようであった。

*国文化財の洋風店舗、解体へ

http://www.asahi.com/articles/ASK4N6CQYK4NPLZB01C.html

朝日新聞デジタル 2017年04月29日)

築90年で老朽化が進んでいるが、所有者が改修費用を賄えなかったという。解体してマンションを併設した店舗兼住宅に建て直されることになり、文化財登録は抹消される。

(中略)

1913(大正2)年、他の出版社にいた故・井上治作氏が譲り受けた。その治作さんが27(昭和2)年に建てたのが洋風の鉄筋コンクリート造り3階建ての店舗で、木造2階建ての住宅とつながっている。店舗は2階から3階部分の「トスカーナ様式」の柱2本が特徴的で、98年に国有形文化財に登録された。

引用する文面はほどほどとする事にして。

記事を読む限り、所有者が老朽化に伴い(それはどこからの示唆だったのだろうか)役所に相談したところ、登録有形文化財の修理に国の補助が出るのは設計監理費の一部だけ、工事費は所有者の負担になる、と事だった・・・

『なることがわかった』と言う言葉だなんて、持ち主でもないのにおかしな表現だ。

どことなく悪意を感じさせるような文面だと言う事が一目瞭然なのだが。

*平楽寺書店

http://www.heirakuji.co.jp/

京都市中京区にある江戸初期、慶長年間創業の出版社です。

*平楽寺書店、京都芸術センター

http://egf.air-nifty.com/forest/2011/07/post-2c77.html

平楽寺書店。三条通りの歴史建築のひとつ。1927年竣工。設計・施工はからきや工務店。ここは、本屋ではなく、仏教関係の学術書の出版社。

写真は2階〜3階。大きな2本の円柱が力強いが、3階バルコニーが実に可愛らしい感じでおしゃれな建物である。2階バルコニー部のみ引き戸になっている。いまとなってはこの引き戸がフツーで、それ以外の建具のほうがおしゃれな感じであるが、昭和初期は、引き戸のレールの大量生産がなされておらず、この引き戸は大変に先駆的な建具だったのではないだろうか。

仏教関係の出版社であるのだが、西欧風の近代建築と言うのは意外性も感じたり。

とは言うものの、京都市内には寺院仏閣以外で仏教関係にまつわる施設では西欧風の近代建築はかなり存在しておりこの出版社以外でも西欧風の近代建築が今でも存在している訳で、その傾向としては日本の近代化に想を高していたのかも知れない。

登録有形文化財(建造物)

平成8年10月1日に施行された文化財保護法の一部を改正する法律によって,保存及び活用についての措置が特に必要とされる文化財建造物を,文部科学大臣文化財登録原簿に登録する「文化財登録制度」が導入されました。

 この登録制度は,近年の国土開発や都市計画の進展,生活様式の変化等により,社会的評価を受けるまもなく消滅の危機に晒されている多種多様かつ大量の近代等の文化財建造物を後世に幅広く継承していくために作られたものです。届出制と指導・助言等を基本とする緩やかな保護措置を講じるもので,従来の指定制度(重要なものを厳選し,許可制等の強い規制と手厚い保護を行うもの)を補完するものです。

http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/

「貴重な現役、コンドル設計の館 島津侯爵邸: 東京・五反田」

https://blogs.yahoo.co.jp/mhf03571/34379157.html

「特にベランダの柱頭飾りは、1階がトスカーナ様式、2階がイオニア様式で古典主義の規範に従っている。」

この社屋の特徴として『トスカーナ様式』と言う古典主義建築の基本単位となる円柱が特徴であった。

明治初年の頃から国内では西洋をもたらされる新しい技術で建築を作ることが求められ、職人や大工たちはそれに果敢に挑戦し、短期間のうちに習得して近代化を成功させていった。

純粋に記事を読む限り国からの保護とはどこまでの事を示すのか?と言ってしまいたくのだが、結局はどうにもならなかったと伺える。

互いに納得できる解決策は果たしていつの頃になればだが。

(おわり)