ライアン・ガンダー

コンセプチュアル・アートの旗手。

謎めいているのは展覧会のタイトルだけではありません。

ライアン・ガンダー

〜この翼は飛ぶためのものではない〜

@国立国際美術館

チラシのメインビジュアルがすごいインパクト。

これ、眉毛も目玉も動くんですよ〜タイトルは《最高傑作》。

個人的には《北斎の青》という作品も興味深かった。

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担当研究員の中田さんの解説を聴きました。

◆なぜいまライアン・ガンダーか

ガンダーはイギリスの作家。

90年代にコマーシャル・ギャラリーが本格的に活動しはじめたとき、 日本に紹介されたアーティストのなかで最も意義深いひとりです。

というのは、海外で評価されているアーティスト(いわゆる売れ筋)を とりあげるのが通常なのに、ガンダーは無名のときに紹介されたからです。

ここ10年で国際的な評価がこれほど高まったという点で希有な存在。

国立国際美術館でも2007年・2008年に作品を購入しているので、 そんなところからも今回の初・大規模展となりました。

◆本展ができるまで

展覧会がはじまって20日あまり、この質問が多いので説明しておきます。

個展だからといって、作家が全てを決めるわけではありません。

もちろん作家本人、それとガンダースタジオの意向はありますが、プラス、 私(!)とのコラボレーション。

細部はガンダー?に中西?で決めたという感じです。

ガンダーは何度も来日していますが、このスペースを使うのは始めてだから

こちらが提案して本人が決める、その繰り返しでできあがりました。

公立の美術館ですから予算(のシバリ)もある、ですから先方の考えを

どのように現実化するかはこちらでないと。

そんなところもコラボレーションというわけです。

◆カタログについて

今回は新作がかなり多いので、展覧会開始に間に合わせるために

カタログには既存の作品しか掲載されていません。

また、作品の性質上、時系列やジャンル別といった並べ方ができませんので かなりかわった配列になっています。

展覧会における展示順でもなく、でも作家本人も納得した配列になっています。

私も文章をかかせてもらっていますが、これまでの活動を説明するために、

これまでの重要な展覧会のカタログのテキストを引用させてもらいました。

以上をふまえて実際の展示を行ったわけですが、できあがって驚きました。

作品がまざりあっている。そして空間全体を意識している。

クラシカルな展覧会ではーたとえば今年のクラーナハのような場合ですがー 作品は150cmの高さに展示します。

しかし今回は天井、床を含め4次元全体というか、展示はこうあるべきという シバリがない感じになりました。

◆ガンダーの手法

1.かくす

例えば青い絨毯のコーナーですが、映像がながれているのに本人は姿を見せない。

また、ステンレスのパレットによる《ポートレイトシリーズ》では、展示されているのは ポートレイトを描いたパレットであり、描いた絵は隠れている。

2.衝突

日常くみあわせないものを組み合わせて見せる。

例えば、B2のガンダーによるキュレーションでトップにある シーガルとバゼリッツ。

ともに夫婦もしくは男女ふたりをモチーフとした作品ですが時代も国も違う。

このように普通並ぶことのないものを衝突させることで何かを感じさせるのです。

本展でも入ってすぐ500体の小さな人形をずらりと並べていますが、

手足をすべて組み替えてできている集団なのです。

3.重ねる

本展でも壁紙とカタログの上にパレットを重ねています。

過去の展覧会から推測してそうだろうとは思っていましたが、実現するまでこれは 意識していませんでした。

4月30日にガンダー本人によるトークを行いましたが、そこでも作品は観る人が 各々にとらえればいい、理解のしかたは違うものだと。

こう観て欲しいとはいわない。

作品は思考をうながすきっかけにすぎない。

その方法として「重ねている」。

4.並列

同種のものを同じ状態で沢山見せる。 たとえば500体の人形。

ステンレスのパレットは40個を20mにわたって並べている。これは当初 5個×8列の長方形に展示する予定でしたが変更になりました。

さらに《アンバーサンド》では正方形の窓からベルトコンベアーにのったものを 次々とみせる。

時間的な並列ですね。

これは実は66個あり、全部みるには40分かかります。 矢の作品《ひゅん、ひゅん…》では限りない矢がささっているだけ。

その前後は観る者が 想像するしかない。

作品により頭の中に様々なストーリーがおこってくるのをねらっています。

◆そのほか通常とちがうこと

1.キャプションがない

個々の作品が一定のサイズにおさまらなかったため、作品ちかくにキャプションを つけようがありませんでした。

代わりにフロアガイドをお配りしていますのでそれでタイトルを確認してください。

2.カタログに寸法や素材がかいてない

過去のガンダー展と同じ手法です。

そういった説明は音声ガイドでおこなっていますのでご利用ください。

説明があるとみかたがかわると思います。無料でないので申し訳ないですが。

3.撮影可

ガンダー自身の希望です。自身もインスタグラムをやっていますし宣伝効果もありますね。

3時半からはあの(と指さす)モニターのむこうにある着ぐるみのパフォーマンスも ありますので是非。

あれは太宰府天満宮のためにガンダーが考えたゆるキャラで”あらたちゃん”といいます。

4.パフォーマンス

No.30の作品はみあたりません。 というのは、それがパフォーマンスだからです。

お客様に扮したひとが見方を説明するというか、鑑賞者に作品のありかを誘導する というわけです。

さがしてみてください。

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パフォーマンスをしているNo.30のひとは私にはわかりませんでした。

でも、説明をおききしてからいろいろと見落としていたものを チェックできてよかった。

だって、「落ちたアイスクリーム」とか、「お札をつっこんだ壁の穴と削りかす」などもあるのです。

日めくり《昨日今日明日》は毎日めくっていて、やぶいたものもその前に 積み上げていくことになっている、のだそうです。

7月2日まで。

http://www.nmao.go.jp/exhibition/2017/gander.html